NVISEN GX01 Pro 実機レビュー。Core i9-10885H / NVIDIA GTX 1650Tiを搭載のゲーミング ミニPCのベンチスコアと使用感



今回レビューする製品は、CPUにインテル 第10世代 8コア 16スレッドのCore i9-10885H、GPUにNVIDIA GTX 1650Tiを採用する「NVISEN GX01 Pro」。通販サイトの製品紹介では「Mini PC」とありますが、サイズは  222 x 195 x 39mmと、Mac miniよりも一回り大きいサイズです。

GPUにモバイル向けのNVIDIA GTX 1650Tiを搭載しているため、AMD Ryzeon / Radeon Graphicsの統合チップと比較すると、ゲーミングのベンチマークスコアは高く、旧世代とは言え ハイエンドのCore i9-1085Hですので キビキビと動作します。

一方、気になることは冷却対応。CPUファンが静かなことはよいものの、通常利用時にも サーマルスロットリング(CPUが最大温度に達した場合、保護のために消費電力を制限して温度を下げる、あるいは自動シャットダウン)が機能しています。

なお、当レビューは Banggoodさんからレビュー用に提供いただいた製品に基づくものです。

レビューする製品はこちら 文末に掲載のクーポンの利用により 655.99ドルでの販売です。

NVISEN GX01 Pro、Banggood

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NVISEN GX01 Proのスペック

インテル 第10世代のCPUとなりますが、モバイル向けのハイエンド 末尾「H」のCore i9-10885Hに、GPUはNVIDIA GTX 1650Tiを搭載しています。

なお、セットモデルのメモリ は 16GB 1枚のシングルチャネルですが、2スロットですので増設可能。また、標準装備のストレージは、SATA M.2 SSDですが、PCIe 4.0をサポートしています。

CPUCore i9-10885H、8コア16スレッド、最大 5.3GHz
GPUNVIDIA GTX 1650Ti DDR6 +  Intel HD Graphics 630
メモリ16GB
ストレージ512GB SATA SSD、PCIe 4.0 SSD サポート、2.5インチ SATA HDD / SSD 増設可能
WiFi11a/b/g/n/ac
Bluetooth4.2
ポート類USB 3.0 x 4、USB 2.0 x 2、USB Type-C、HDMI、DisplayPort、有線LAN
サイズ222 x 195 x 39mm、1060g
OSWindows 11 Pro

 

▼USB Type-Cはデータ専用、映像出力には未対応です。

 

▼ハイエンドのCore i9と外付けGPUを搭載していることもあり、ファンを2つ装備しています。実機での確認では、ファン音はそれほど大きな音量でなく、ライトユースでは無音に近い時間も多いです。ただし、ライトユースにおいても、サーマルスロットリング(CPUが最大温度に達した場合、保護のために消費電力を制限して温度を下げる、あるいは自動シャットダウン)が機能しています。

 

▼GTX1650 Tiの実力は、Ryzen 5900HXのRadeon Graphicsの約2倍と記載されています。手元にある Ryzen 7 5800Hとの比較でも相応の相違があります。

実機のシステム情報

続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。

 

▼Windows 11 「設定」の「バージョン情報」より。もちろん、仕様どおりに Core i9-10885H、メモリ 16GB。OSはWindows 11 Pro

 

▼こちらはフリーソフト「HWiNFO(HWiNFO、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフトの概要)」から抽出のシステム情報。クリックで拡大できます。

 

▼上の画像右側のGPUの情報。一つ目はインテル統合チップのUHD Graphics、二つ目はNVIDIA GTX 1650Ti。

 

▼メモリ はDDR4 1333MHzの1枚、シングルチャネルでの動作です。8GB x 2枚がよかったとも思ったものの、どうせなら 16GB x 2の32GBにしたいところ。このため、16GBの1枚の標準装備もありです。

開封、外観

開封、外観について記載します。青みがかったグレイにカーボン調を組み合わせた、クールなデザインの本体です。また、金属を多用しているために、Mac miniと同様の重厚感もあります。

開封

 

▼本体のサイズ(222 x 195 x 39mm)に合わせて、大きなサイズの外箱です。Banggoodさんからレビュー用にサンプル提供いただいた製品であるためか、あるいは販売的側で Windowsをインストールする設定となっているためか、開封された形跡がありました。

 

▼本体は他のPCと同様に、保護されたうえで収納されています。

 

▼本体の下に付属品が収納されています。

 

▼付属品は、2.5インチ HDD / SSDの増設用のケーブル、EUプラグのAC アダプター、Banggoodさんのサービスで付属の EUプラグ to 日本プラグの変換アダプター、HDMIケーブル、説明書。説明書は英語・中国語の構成となり、BIOSの設定をメインとしたもの。

 

▼説明書以外の付属品。ACアダプターは分割式です。2.5インチ HDD / SSDの増設用のケーブルが付属しています。

 

▼ACアダプターのサイズ感を確認できるよう、マウスを並べて撮影。

 

▼(後日、どのPCのアダプターか、わからなくならないよう)私の備忘録として、ACアダプターの仕様を拡大して撮影。

 

▲▼Banggoodの製品紹介、Amazonで販売の他ブランドの同型モデルでは、カーボン調ではない部分はグレイですが、実機は青みがかったグレイです。個人的には、グレイよりも実機の色合いが好みです。

 

▼青みがかった部分はスチールと思いきや、マグネットがくっつかないために アルミ製と思われます。アルミ製としては厚みがあり、強度は十分です。

▲カーボン調の部分の素材は、樹脂のような アルミのような。識別しにくいのですが、おそらくはアルミ製。

 

▲▼ボディの隙間から、こちらのようにイルミネーションが点灯します。レッド・グリーン・ブルーの組み合わせで変化しますが、点灯・消灯の制御はできないようです。

 

▼前面は中央の電源ボタンのみ。スペースに余裕があるため、USBポートか数個あるとよかったのですが。

 

▼背面のポート類は、左から電源、データ専用のUSB Type-C、DisplayPort、USB 2.0 x 2、USB 3.0 x 4、有線LAN、イヤフォンジャック。ちなみに、背面のパネルは樹脂製です。

 

▼USB Type-Cポートに稲妻マークがあり Thunderbolt 3と思いきや、映像出力できず、データ専用でした。

 

▼一見して金属製に見える底板ですが、樹脂製です。

 

▼参考までに、サイズの近い Mac miniを並べてみました。Mac miniのサイズ 197×197×35.8mmに対して、本製品は 222 x 195 x 39mm。短辺はほぼ同サイズ。

内部構成の確認は、現時点では保留

内部の構成を確認し、「2.5インチ HDDを増設、M.2 SATA SSDをPCIe SSDに換装」と思っていたのですが、四隅のネジを外しても底板は外れず。隙間にヘラやカードなどを入れて、ツメを外す仕組みのはずですが、ヘラを入れるほどの隙間がなく、現時点では保留です。

Amazonのスペック違いの同モデルでは HDD増設のコメントがあり、また、AliExpressの同モデルのユーザーレビューでは 内部構成の写真が複数あるため、参照しながら時間のある時に対応してみます。

 

AliExpress サイトから引用の内部の構成はこちら。

 

2023年5月5日追記。以下の記事のとおり、底板を開き 内部の構成を確認しました。
Core i9-10885H / NVIDIA GTX 1650Ti搭載のミニPC 「NVISEN GX01 Pro」。底板を開き、内部の構成を確認してみた
Core i9-10885HとNVIDIA GTX 1650Tiを搭載するミニPC「NVISEN GX01 Pro」。ベンチマークのシングルコアでは、Ryzen 5 / 7の5番台が高いスコアですが、普段使いでは CPU / GPUとも...

ベンチマークスコア

実機で計測の、Geekbench 5、Geekbench 6、CINEBENCH R23、GFXBench、CrystalDiskMarkのベンチマークスコアです。

全般的に、冷却が十分にできていないためか、GTX 1650Tiを搭載しているにもかかわらず、Geekbench 5 / 6とCINEBENCH R23のマルチコアが 控えめなスコアです。

Geekbench 5

Geekbench 5のスコアは「シングルコア 1234、マルチコア 4806」。シングルコアはともかく、マルチコアの実力はもう少しあるように思います。

▲▼以下の記事に Geekbench 5のスコア一覧を掲載していますが、直近のPCでのシングルコアのスコアは AMD Ryzen 5 5560Uに近い水準です。

PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
これまで実機レビュー、あるいは紹介したWindows PC / Macのサイト内検索、私自身の参照用の位置づけとなりますが、私がPCのパフォーマンスを確認するうえで指標の一つとしている「Geekbench 5、CPU ベンチマークスコア...

Geekbench 6

以下の記事に記載のとおり、Geekbech 5と6では、スコア計測の項目・指標となるPCが異なるため、6のスコアが高くなります。

Geekbench 6 vs 5のスコア、M2 / M1 Macなど、数台のPCで実測スコアの相関を確認してみた
2023年2月18日現在、Windows / macOS / iOS / iPad OS / Androidともに、Geekbench 5からGeekbench 6に置き換わっています。私は実機レビューしたPC / 紹介したPCなど、G...

 

▼本製品でのスコアは「シングルコア 1515、マルチコア 4676」。

 

▲▼下の画像は「Geekbench Browser」で確認のCore i9-10885Hの標準的なスコア、GPUは統合チップのIntel UHD Graphicsです。シングルコアは同水準ですが、GTX 1650Ti搭載にもかかわらず、実機のマルチコアは低いスコアです。これは、後述の冷却対応に起因すると推測。

CINEBENCH R23

「CINEBENCH R23」のスコアは、「シングルコア 1187、マルチコア 6970」。マルチコアのランキング上位の Core i9-9880Hからすると、マルチコアは更に上位となる実力のはず。

 

GFXBench

私はゲーミング向け・GPU向けのベンチマークに不慣れなため、また、前述のとおり冷却が追いついていないように思えるために参考情報ですが、GFXbenchのスコアを掲載します。

Beelink SER5 Pro 実機レビュー。AMD Ryzen 7 5800Hにより キビキビ動作、2個のファン装備で冷却も万全、しかも静音仕様
今回レビューする製品は、CPUに 8コア 16スレッドのAMD Ryzen 7 5800Hを搭載するミニPC「Beelink SER5 Pro」。先日、AMD Ryzen-5 5560Uを搭載する 無印の「SER5」をレビューしましたが...

 

▼下の画像は、GFXBenchのスコアを、上の記事で実機レビューの AMD Ryzen 7 5800HのミニPCと比較したもの。比較対象がよくないと思いますが、明らかに GTX 1650 Tiが高いスコアです。

 

GFXBench サイトはこちら

3DMARK

3DMARK Time Spyのスコアは 3668と、NVIDIA GeForce GTX 1650 Tiの標準的なスコアです。

 

▼ファンはほぼフル回転していましたが、CPUの温度はやや高めでしょうか。

CrystalDiskMark

標準装備のM.2 SSDは、PCIeではなく SATA接続。このため、読み書き 500前後のスコアです。M.2 SSD ポートは PCIe / SATAの双方に対応、PCIeは 4.0をサポートしていますので、必要に応じて PCIe SSDへの換装もよいでしょう。ただし、私の場合、底板を開くことに難航中で、内部の確認・PCIe SSDへの換装は保留にしています。

体感レスポンス

Web サイトのブラウジング、オフィスソフト、画像編集、簡易的な動画編集のライトユースでは、私のメイン使用のM2 Pro Mac mini、M1 MacBook Airと遜色ないほどにキビキビと動作します。一定クラス以上のPCのコメントと同じとなってしまいますが、普段使いでの体感レスポンスは以下です。

  • CPUのパワーがあるため、Windows 更新前後の負荷がかかっている場合にも、遅さを感じることなく普通に動作します。
  • 何度か記載のとおり、サーマルスロットリング(CPUが最大温度に達した場合、保護のために消費電力を制限して温度を下げる、あるいは自動シャットダウン)が頻繁に機能していますが、普段使いでのレスポンスへの影響はありません。
  • ストレージは 高速なPCIe SSDではなく SATAですが、PCIe SSDと大きく体感できるものではなく、Windowsの起動や終了、大容量アプリのインストールも高速です。

ファン音、CPU温度

他のPCにおいては静音性を重視する私ですが、本製品の場合にはファンの制御が上手くできていないように思います。Google Chromeでの記事を編集や、Web サイトのブラウジング程度では、ほとんどファン音は聞こえないのですが、CPU温度は高く、頻繁にサーマルスロットリングが機能しています。

サーマルスロットリング機能の温度は 100℃ですが、それよりも低い温度で機能しているようであり、これが前述のベンチマークスコアの伸び悩みにつながっているようです。

なお、負荷をかけた場合など、外枠は極端に熱くないほどの熱を感じます。

 

▼前述のフリーソフト「HWiNFO」で確認のCPU温度です。上がベンチスコア計測の高負荷時、下が通常時ですが、双方ともにCPU温度の最大は80℃台半ばとなり(90℃になることもあります)、サーマルスロットリングが機能しています(赤文字部分)。サーマルスロットリングの発動は100℃ですが、以下の画面を見る限りでは、それより低い温度で機能しているようです(要確認)。

 

▼こちらはCPUのコア温度の推移です。青白で囲った部分はベンチマークの計測時ですか、70℃台と40℃台を数秒間隔で激しく上下しています。上述の100℃に達しない温度でのサーマルスロットリングの発動とあわせ、CPUとGPUの実力を十分に活かしきれていないように感じます。

 

参考、日本語キーボードへのレイアウト変更方法

中国ブランドも含め、海外製のミニPC・PCでは、通常の場合、Windows 11 英語版がプレインストールされています。初期設定で日本語を選んだ場合にも英語キーボードの設定になっているため、@の位置など、日本キーボードとは異なる配置となっています。これを初期不良と勘違いする方もいらっしゃるのですが、以下の記事に記載の方法で、簡単に日本語キーボードのレイアウトへと変更することができます。

中国ブランドのWin 11 ミニPCなど、キーボードレイアウトを英語から日本語に変更する方法。初期設定では英語のため要注意
Windows 11がプレインストールされた、中国ブランド、あるいは海外から取り寄せたミニPCなど、Windows 11の初期設定で言語を日本語に設定しても、キーボードのレイアウトは英語キーボードとなっています。そこで今回は、英語キーボ...

 

▼なお、こちらは私のおすすめのWindows 11の初期設定です。

Windows 11 、初期設定直後に行いたい10個の追加設定。IMEの変更、英数・かな切替の割り当て、スリープ設定など
これまで Windows 10から11への更新、新規購入のPC、MacBookでの仮想環境など、多くのWindows 11 PCの初期設定を行ってきました。このなか、初期設定直後に行う追加設定、インストールするソフトなどが定着しましたの...

まとめ

あらためて本製品の使用感などのポイントを記載すると以下となります。冷却対応・サーマルスロットリングが頻繁に機能することについては、今後 追跡して確認しますが、これ以外では 旧世代ながらも パワフルなCore i9-10885H、GPUのNVIDIA GTX 1650Tiと、ライトなゲーミングとしては程よい組み合わせです。

  • 青みがかったグレイ(金属製)とカーボン調の外枠により、クールなデザイン。
  • NVIDIA GTX 1650Tiの実力は、AMD Ryzen 5800H / Radeon Graphicsを大きく凌駕。
  • Core i9-10885Hのシングルコアの実力は、Ryzen 5 5560Uに近い水準となり、普段使いではキビキビと動作。
  • ファンを2つ搭載していますが、普段使いでは ファン音は大きくなく、無音と感じる時間帯も多いです。負荷がかかった際にも、静音の部類です。
  • ただし、上記のファン音と連動し、サーマルスロットリングが頻繁に機能し、冷却対応・ファンの制御に課題があるように思います。
  • メモリは16GBのシングルチャネルの動作、標準装備のストレージはSATA SSD。CPUとGPUパワーにあわせて、8GB x 2 あるいは 16GB x 2のデュアルチャネル、PCIe SSDの組み合わせとしたいところ。ただし、現時点では底板を開くことに難航し、対応保留中。

 

▼Banggoodの販売情報。画像の価格は 759.99ドルですが、クーポン「BGJP7c87」の利用により 655.99ドル。クーポンは5月14日まで有効。

NVISEN GX01、Banggood