今回レビューする製品は、CPUに 8コア 16スレッドのAMD Ryzen 7 5800Hを搭載するミニPC「Beelink SER5 Pro」。先日、AMD Ryzen-5 5560Uを搭載する 無印の「SER5」をレビューしましたが、「Pro」のモデル名どおりに ベンチマークスコア・体感レスポンスともに ワンランク上の製品です。
また、無印の「SER5」の相違としては、映像出力のUSB Type-C ポートと、内部にファン付きのシステムファンブラケットを装備しています。合計2個のファンを備えているにもかかわらず、BeelinkのミニPCらしく静音仕様となり、おすすめできる製品です。
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Beelink SER5 Proのスペック
モバイル向けではハイエンドを示す「H」シリーズの「AMD Ryzen 7 5800H」を搭載するほか、USB Type-Cは映像出力に対応しています。また、メモリ 16GBのモデルも販売されていますが、今回は32GBモデルでのレビューです。
CPU | AMD Ryzen 7 5800H、8コア16スレッド、最大 4.4GHz |
GPU | AMD Radeon Graphics 8コア 2000MHz |
メモリ | 32GB DDR4-3200 (1600MHz)、最大 64GB |
ストレージ | 500GB M.2 PCIe 3.0 SSD、2.5インチ HDD / SSDを増設可能 |
WiFi | WiFi 6 |
Bluetooth | 5.2 |
ポート類 | USB 3.2 x 3、USB 2.0、USB Type-C(DP対応)、HDMI x 2、有線LAN |
サイズ | 12.6 x 11.3 x 4.2 cm |
OS | Windows 11 Pro |
▲▼AMD Ryzen 5 5560Uを搭載する 無印の「SER5」は、以下の記事にて実機レビューしています。上表では、SER5との相違事項に黄色網掛しています。

▼無印のSER5とPro版のスペック以外の相違としては、SER5 Proは 内部に「システムファン ブラケット」を備え、CPU ファンと合わせ 2つのファンを装備していること。PCIe SSDとマザーボード・CPU・増設の2.5インチ HDD / SSDを効率よく冷やすためのものです。
2つのファンを装備していても、後述のとおり静音仕様ですが、M.2 SSDとメモリを換装する際にはブラケットを取り外す必要があります。なお、無印のSER5はブラケットを未装備のため、底板を開けるとメモリ とSSDを簡単に換装できます。
▲こちらの画像では、2.5インチ HDD / SSDを底板に固定するように見えますが、システムファンブラケットに固定する形式です。詳しくは後述のHDD増設を参照ください。
▼前面にはCMOS クリアと映像出力対応のUSB Type-Cを備えています。Type-Cポート経由で、4K@60Hzでの映像出力できることを実機で確認済です。
▼BeelinkのミニPCの購入検討時の大きなメリットとしては、以下の画像のように ファンの音量、画像は未掲載ですが CPU温度、使用しているメモリとSSDのブランドを明記している製品が多いこと。「SER5 Pro」はしっかりと明記があり、静音仕様、メモリはCrucial、SSDはKingstoneの大手ブランド製で安心。
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 設定のシステム情報。もちろん、仕様どおりのAMD Ryzen 7 5800H、メモリ 32GB(オプション)、Windows 11 Pro
▼フリーソフト「HWiNFO(HWiNFO、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフトの概要)」で抽出のシステム情報。左にCPU情報、中央にメモリの情報、右にGPUの情報が掲載されています(クリックで拡大表示できます)。
▼メモリは 16GB x 2のデュアルチャネルで動作しています。
▼メモリは Crucial製の16GB(CT16G4SFS832A.C8FF) x 2のデュアルチャネル。「HWiNFO」では多くの場合、メモリやSSDの製造元・型番・シリアル番号を確認することができます。
▼ストレージは Kingston製(KINGSTON SNV2S500G)の500GB。BeelinkのミニPCでは、メモリはエントリークラスの製品も含めてCrucial製、ミドルレンジのSSDは Kingston製と、大手ブランドのパーツを採用していることが多く、安心感があります。
開封、外観
外観においては、先日レビューした AMD Ryzen-5 5560Uを搭載する 無印の「SER5」と、ほぼ同じです。小さな相違は、底板を外しやすいよう、底板に滑り止めも兼ねたゴムが装備されています。さりげない変更点ですが、金属製の底板は外しにくいために重宝します。
外観の全般的なところでは、部分的に金属製で重厚感があり、同社あるいは他社のエントリークラスの筐体とは質感が異なります。
開封
国内外通販サイトでは、新規ブランドあるいは販売店系のミニPCが多く販売されていますが、ミニPCの老舗の「Beelink」や 独自スタイルのミニPCを展開する「MINISFORUM」は、外箱や梱包もしっかりしています。
▼黒字に赤の外箱は、RADEONのイメージカラー(?)を意識しているように感じます。
▼内箱はブラックの単色です。
▼左側にACアダプターやHDMIケーブルなどの付属品が収まっています。
▼付属品は、VESA ブラケット およびネジ、HDMI ケーブル 2本、AC アダプター、簡易説明書。説明書は多言語表記で、日本語は 4ページ分(ポート類の説明がメイン)。
▼プラグは日本仕様ですが 3ピンです。こちらAmazonの製品のように、3ピン to 2ピン 変換プラグは安価で販売されていますので 問題ありません。
▼私の備忘録として(PCと電源の組み合わせが わからなくなることが多いので)、電源の仕様を拡大。
▼同社の他のミニPCと同様に、本体は傷防止などのために梱包されています。
外観
▼前面の電源ボタン・USBポート周りと、天板のBeelinkのロゴの部分のプレートは艶ありブラックです。このため、周囲の物や天井が映り込んでいます。
▼外枠は樹脂製ですが、天板とサイドのメッシュ状の通風孔・底板はスチール製。これにより、全体的に重厚感があります。
▲▼メッシュ状の通風孔の質感がわかるように拡大。エッジのラウンド処理も丁寧です。以下の「Beelink EQ12」や「MINISFORUM MC560」は全面樹脂製ですが、一部に金属が加わると質感は大きく向上する よい事例です(以下のミニPCの質感がよくない意味ではありません)。


▼前面は左から、CMOS クリア、USB 3.2 x 2、映像出力対応のUSB Type-C、イヤホンジャック、電源ボタン。最近のPCでは CMOS クリアを利用する機会も大きく減りましたが、もしもの場合に備えて 装備していると安心感につながります。
▼電源オン時には、電源ボタンが白く点灯します。
▼左右両サイドは通風孔のみ。
▼背面のポート類は左から、有線LAN、USB-A 3.2、USB-A 2.0、HDMI x 2
▼底板は前述のとおりスチール製です。2.5インチ HDD / SSDの増設は底板を開いて行います。右上の赤の部分はゴム製ですが、底板を開く際に引っ張って使用し、また、机上での滑り止めとしても機能します。
▲▼ゴム足の部分を拡大。赤の部分は、以下のミニPCはブラックですが、SER5 Proでは AMD Radeonのイメージカラー(?)にあわせてレッドです。


▲▼手元にある Beelinkのミドルレンジからハイエンド寄りのミニPCを並べてみました。2つ上の写真の左は無印の「SER5」、下の写真の左側は以下の記事で実機レビューの「SEi 8」です。「SEi 8」とは天板のデザインが大きく異なりますが、Beelinkのインテル CPU搭載のミニPCは、AMD CPUのモデルよりも控えめなデザインであることが多いです。
