今回レビューする製品は、CPUにUNISOC T616を搭載する、10.36インチのAndroid 12 タブレット「N-one NPad Pro」。メモリ 8GBにストレージは128GB UFS、18Wの急速充電、Widevine L1をサポート、4スピーカーとスペックと機能は充実しています。さらには、ユニボディによる金属製の筐体で、軽さと美しさを兼ね備えています。
AnTuTu ベンチスコアは約25万となり、高速なUFS ストレージとあわせて キビキビと動作、鮮やかな、アルミ製の質感の高い端末である一方、スピーカーの音量がやや大きいことが気になります。
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NPad Proのスペック
冒頭に記載のとおり、基本スペックと機能は充実してバランスもよく、さらにユニボディでることから、他の中国ブランドのタブレットと比較しても上位クラスの製品です。
なお、AliExpressでの販売では、2023年4月20日時点、レビュー総数 20件のうち、日本の方が18件を占め、いづれも高評価です。
CPU | UNISOC T616、8コア |
メモリ | 8GB LPDDR4 |
ストレージ | 128GB UFS |
ディスプレイ | 10.36インチ、IPS / In-cell パネル、解像度 2000 x 1200、明るさ 300 nits |
WiFi、Bluetooth | WiFi デュアルバンド、Bluetooth 5.0 |
LTE | 対応 |
カメラ | フロント 5百万画素、リア 13百万画素 |
バッテリー容量 | 6600mAh、USB Type-C、18W 急速充電 |
サイズ | 厚み 7.5mm、重さ 450g |
OS | Android 12 |
その他 | ユニボディデザイン、4ボックススピーカー、GPS搭載、Widevine L1をサポート |

▲▼スペックの詳細は以下の記事においても掲載しています。AliExpressの製品紹介では下部にキーボード端子らしきものがありましたが、4月22日現在のAmazonでは「端子なし」に正しく修正されています。
▲▼Amazonの製品紹介には明記されていませんが、AliExpressの販売情報では「Unibody Design」と明記されています。ユニボディとは、「1枚の金属を削り出して加工し、美しい見た目と薄さに貢献」するものであり、「NPad Pro」は高い質感ともに、450gの軽さを実現しています(他の中国ブランドの10インチタブレットでは、500g台半ばの製品が多い)。
なお、ユニボディは以下などのタブレットにも採用されています。
- N-one NPad Plus 2023モデル、メモリ 8GBにスペックアップ。UFS ストレージ、ユニボディ採用の10型タブ
- N-One NPad X、AnTuTu スコア 約38万、Helio G99搭載の10.95型 Android 13 タブレットがリリース。予約販売価格は199.99ドル
- Xiaomi Redmi Pad、Helio G99搭載の10.61インチタブ。ユニボディの美しいデザインに4スピーカーを搭載
実機のシステム情報
続いて、アプリ「Device Info HW」から抽出のシステム情報をメインに記載します。
▼CPUは8コアのUNISOC T616、Cortex A75 1.95GHz x 2、Cortex A55 1.82GHz x 6の構成です。T616に近い型番としては、T618 / T606がありますが、ベンチスコア、体感レスポンスともに同水準です。
▲GPUはMali-G57
▼ディスプレイの解像度は 2000 x 1200、リフレッシュレートは58Hz
▼大容量のAnTuTu ベンチマーク 3D アプリをインストールしていますが、空き容量は約105GBと余裕です。
▼フロントカメラは5百万画素、リアカメラは13百万画素と、タブレットとしては高画素です。
▼バッテリー容量は 6600mAh、18Wの急速充電に対応しています。
▼アプリ「DRM Check」にて、Widevineへの対応状況を確認してみました。仕様どおり、「Widevine L1」に対応しています。
開封、外観
開封して最初に感じたことは、背面の質感の高さと軽いこと。アルミ製背面のタブレットは多くありますが、ユニボディによりワンランク上の質感と軽さを実現しています。
開封
▼白地の中央にロゴがあるのみのシンプルな外箱です。
▼他社のタブレットの場合、タブレットの裏側に付属品が収納されていることが多いのですが、ACアダプターとケーブルは横に収納されています。このため、やや大きめの外箱です。
▲なお、私は付属のAC アダプターを利用せず、以下のアダプターを使用しています。Amazonの製品紹介に「付属のアダプターは18Wの急速充電に対応せず」と記載があり注意が必要です。

▼背面の保護フィルムにはSIMの挿入方法が記載されています。
▼アルミのユニボディとなり、フィルム越しでも質感が高いことがわかります。
▼付属品は、SIMピン、多国語表記の説明書、ACアダプター、USB Type-C to Type-Cのケーブル。前述のとおり、付属のACアダプターは18Wの急速充電に未対応です。
▲説明書のうち、日本語表記は8ページ分。サウンド・画面設定などの基本的な説明事項をメインに記載されています。
▼ACアダプターのサイズ感がわかるよう、マウスを並べて撮影。コンパクトなACアダプターです。
外観
写真ではユニボディであることが掴みにくいのですが、内側にアンテナがある樹脂との境目を除き、継ぎ目のない外枠は美しいです。
▼横持ちでの左サイドに、USBポート、リセットホール、音量ボタン、電源ボタンがあります。
▼実機の色合いは写真よりも明るいグレイです。グレイというよりも、青みがかったシルバーのような色合いです。
▼音量、電源ボタン周りを拡大。
▼初期設定中の一コマ
▼壁紙は上の写真のデフォルトから変更していますが、初期設定後の全体像。
▼SIM トレイ側のサイドの全体像。
▼スピーカーとSIM トレイ周りを拡大。ユニボディですが、写真中央から左は、金属と電波との干渉を防ぐために樹脂であるため、段差が生じています。
▲スピーカーの開口部は、私がレビューした他のタブレットよりも大きいもの。この恩恵によるものか、レビューした4スピーカーのタブレットよりも、音質はクリアのように感じます。
▼反対側のサイドの全体像。この角度で見ても、視野角は良好です。
▼電源ボタン側より
▼電源ボタン周りを拡大。ディスプレイのエッジの部分でわかるとおり、フィルムが貼り付けられています。Amazonのレビューコメントを参照すると、「装着されたフィルムでのタッチの精度がイマイチ」とのコメントがありますが、私の感覚では他のAndroid タブレットと同感覚です。
▲電源ボタンは手探りで感覚的にわかるようにするためか、小さな突起が多数あります。なお、手触りでは電源ボタンは金属製、音量調節ボタンは樹脂製か(金属製とも思えます)。
▼USB Type-Cの充電ポート。ケーブルの出し入れは硬すぎることもなく適切です。
ディスプレイ
デフォルトでの画面は やや寒色(青白)系の色合いですが(「設定」から調整できます)、視野角、明るさ、発色ともに良好なディスプレイです。
▼正面から見ても鮮やかな画面です。仕様上の明るさは300 nitsですが、他の同一輝度のタブレットと比較すると、本製品は多少明るく感じます。
▼さすがに この角度から見ると、色相は変化します。ただし、上の写真は実機より鮮やか、下の写真は実機よりも暗く見えているため、掲載の写真ほどの変化はありません。
▼こちらは当サイトのホーム画面。私が色合いや視野角を確認するには、見慣れた当サイトのトップページをPC用のディスプレイなどと比較しています。自然な色合いで視野角も十分です。また、FHDであるために、文字のシャギーさ(ギザギザ感)も目につきません。
ベンチマークスコア
実機で計測の、AnTuTu ベンチマーク v9、Geekbench 6、ストレージのベンチスコアを掲載します。AnTuTu ベンチスコアは約25万、ストレージのReadは約650MB/sと、2万円台のタブレットとしては上位のスコアです。
▲AuTuTu ベンチマーク v9のスコアは 247769。以下の記事に、エントリーからミドルレンジの、これまでレビューしたスマホとタブレットをメインにスコアの一覧を搭載していますが、UNISOC T616のスコアは、T606より僅かに高く、Snapdragon 680と同水準です。

▼ストレージは Write 137MB/s、Read 649MB/s。Write 側がやや低いですが、このスコアを見ると、UFS 2.1ではなく2.2でしょう。

▲▼上の記事で記載のとおり、Geekbench 5から6に更新となり、アプリ内で履歴を保持できないど、利便性がわるくなりました。Geekbench 6のスコアは「シングルコア 437、マルチコア 1554」。
▲▼Geekbench 6 サイトで確認したところ、シングルコアにおいては Snapdragon 845 / Snapdragon 712と同水準の実力です。Snapdragon 845を搭載の「POCO F1」は、2018年8月に発売のミドルレンジからハイエンドクラス寄りのスマホですが、これと同水準と思うと十分です。
体感レスポンス
私はスマホ、タブレットともにゲームは行わないのですが、AnTuTu ベンチスコア 25万の場合、ブラウザ、YouTubeなどの動画視聴、その他の一般的なアプリなど、サクサクと動作します。
本製品以外にも、スコア 25万前後のタブレットを複数所有していますが、これらの端末よりもキビキビと動作しているような感覚もあります。
- 私のタブレットの用途は、ブラウザ、動画視聴(YouTube、Netflix、他)、SNSやショッピング系アプリ程度ですが、遅さを感じることなくキビキビと動作しています。
- 下位のスペックのタブレットでは、スリープからの復帰時にスムーズさに欠けることがあるのですが、そのような現象もありません。
- UFSの高速ストレージの恩恵により、AnTuTu 3D ベンチアプリのように 800MBクラスのアプリのインストールも高速です。
なお、「NPad Pro」に限らず、複数のAndroid タブレットで感じていることが、スリープからの復帰時のPINコードを入力時に滑るような感覚があること。装着済のフィルムに起因するものかもしれませんが、「NPad Pro」も同じ状況です。
スピーカー
4スピーカーの音質よいものです。以下の記事で実機レビューの「CHUWI HiPad Max」や、その他の4スピーカーのタブレットも含めての比較では、「NPad Pro」は4スピーカーの効果を明確に感じます。
- 他の4スピーカーのタブレットでは、2スピーカーとの相違は明確に感じない製品もあるのですが、NPad Proは動画の最初の視聴で明らかに4スピーカーの恩恵を感じます。
- 低音を強調しすぎず、中高音もクリアで、一般的なスマホや安価のPCと比較しても音質はよい部類です。
- ただし、音量は音量調整ボタンで最小にしても大きすぎ、本製品で音量調節できる最小の音量で、他のAndroid タブレットの3~4のレベルとした音量です。これにより、最大にした時との音量の差が小さいようにも感じます。
カメラ
フロント 5百万画素、リア 13百万画素と、他の中国ブランドのAndroid タブレットと比較すると 高画素のカメラを搭載しています。撮影した画像の掲載は割愛しますが、タブレットのカメラとしては標準的。
他のAndroid タブレットと同じく、スマホ並みのカメラを求めるのではなく、あくまでメモ書き代替となります。
なお、オートフォーカスと保存に要する時間も、他のAndroid タブレットと同じく標準的。スマホとの比較では、多少のもどかしさを感じることはやむを得ず。
WiFi接続
本製品を開封直後の初期設定において、WiFiに繋がりにくい状況があったために記載します。なお、記載の状況は私の端末に固有の事項の可能性があり、また、初期設定時の一過性のものです。
- 初期設定時に WiFiの接続画面がありますが、自宅のWiFi環境、iPhoneからのテザリングともに接続できず。
- 上記により、WiFiに接続することなく初期設定を実施。
- 初期設定の完了後も WiFi 接続・iPhoneからのテザリングともに、やはり接続できず。
- その後、何度かの接続を試して WiFi接続となり、以降は安定して使用できています。ただし、以下の「バッテリー使用量」のWiFiの使用時間を確認すると、使用開始 間もないにもかかわらず、使用時間は1,558日となっており、WiFiの設定がおかしくなっているようです。
▼先頭行のとおり、使用直後にもかかわらず、WiFiのバッテリー使用量が 1,558日になっています。再起動を行っても、この適切ではない表示は修正されず。日数の経過とともに、使用日数が増えるのではなく、減ることもあります。
▼こちらは「Fast.com」で計測の自宅でのWiFi速度。自宅の環境でのNuro 光は速くないのですが、他のPCやスマホと同水準の速度が出ています。
LTE接続
私がサブ回線として使用(メインはiPhone / ソフトバンク)のOCN モバイル ONE SIM(ドコモ回線)にて、LTEの接続を確認してみました。
格安SIM向けにプリセットされたAPNはなく、手動でAPNを設定して即認識。以下の画像のとおり、私の環境でのドコモ回線のOCN モバイル ONEとしては標準以上の速度が出ています。
格安SIM
私はAndroidのサブ回線として、「OCN モバイル ONE」のSIMを利用していますが、スリープ時のバッテリー消費が激しいため、以下のSIMをおすすめします。
急速充電
Android タブレットのバッテリーはスマホよりも大容量となりますが、急速充電に対応していない端末の場合、充電に時間を要し もどかしさを感じます。
「NPad Pro」は18Wの急速充電に対応し、上位のスマホほどの急速充電ではありませんが、充電時間を短縮することができます。概算となりますが、約20分の充電で30%ほど充電でき、この価格帯のタブレットとしては十分です。
バッテリー消費
バッテリー消費においては、タブレット間で大きく異なるものではなく、本製品もAndroid 12 タブレットの一般的なバッテリー消費です。
Android 11以前と比較すると、スリープ時のバッテリー消費がやや高く、私の場合には以下の記事に記載の通り、機内モードをベースにして、WiFiなどの必要な項目をオンにするスタイルです。

まとめ
AnTuTu ベンチスコア 約25万となるUNISOC T616、メモリ 8GB、高速なUFS 128GBのストレージ、18Wの急速充電に対応、Widevine L1をサポート、4スピーカーと、4月22日時点のAmazon 価格 24,900円のタブレットとしては、上位のスペックと機能でバランスのとれた「NPad Pro」。あらためてポイントを記載すると以下となります。
- UNISOC T616とメモリ 8GB、UFSのストレージにより、普段使いではサクサクと動作。
- 10.36インチのディスプレイは明るく、発色も含めて良好です。
- アルミ製 ユニボディの外観は質感高く、450gと軽量。
- 私の端末に固有の事項と思われますが、初期設定時にWiFiに繋がらない現象があるも、接続後は安定。なお、WiFiのバッテリー使用量表示が適切ではない現象もあり。
- 4スピーカーの音質は他のタブレットよりも良好な一方、音量調節にて最小とした場合にも音量は大きい。
なお、Amazonでのユーザーコメントでは、マイナス要因・疑問に感じる以下の事項のコメントがあります。これらに対して、私の実機操作で確認した見解を記載します。
- 上記4の音量に関するコメント(音量が大きい)が多いですが、私も同見解。
- 「Widevine L1対応にもかかわらず、Amazon プライムビデオの画質がよくない」とのコメントがありますが、私の場合には huluやYouTubeも含めて 高画質で表示されています。
- YouTube 視聴時に、当初はプチプチと雑音が混入していましが、今ではその現象もなく安定動作しています。
- Google アカウントとの紐づけ時に、「BMAX I11 Plus」と他の端末名が表示される現象は、Amazon コメントと同様。「NPad Pro」が4スピーカー、「I11 Plus」が2スピーカーであることを除けば、CPU・メモリ・ストレージ・バッテリー容量など、同じスペックが多く、外観も異なれど 同じOEM製品をカスタマイズしている可能性もあります。
▼4月22日現在のAmazon タイムセール価格は 24,900円。音量調節 最小時の音量は大きいものの、機能は充実、高品質なタブレットです。