多くのミニPCやノートPCをラインナップに揃えるCHUWIですが、ミニPCの上位となるのが「CoreBox」シリーズ。うち、ハイエンドとなるのが インテル 第10世代のCPU Core i3-1005G1を搭載する「CoreBox Pro」。シリーズ共通となる、ミニPCとしては大柄なボディの製品ですが、メモリ 12GBにPCIe SSDを搭載し、CPUも含めた基本スペックが高いことが特徴です。
この「CoreBox Pro」を、Banggoodさんよりレビュー用にサンプル提供いだきましたので、外観・ベンチマーク・使用感などを記載します。他社製も含めたミニPCのなかでは ハイエンド寄りの製品となり、快速であることに加え、私の予想外にCPUファンの音量が小さい静音仕様であり、かつ冷却にも優れています。
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スペックと実機のシステム情報
CoreBox シリーズとしては、Core i5-5257Uを搭載する「CoreBox i5」、Core i7-6560Uの「CoreBox X」も販売されていますが、メモリとSSDのバランスとしては本製品が最もよいとの認識です(CoreBox i5とXはメモリ 8GB、オンボード)。
CPU | Core i3-1005G1、2コア4スレッド |
GPU | Intel UHD Graphics 620 |
メモリ | 12GB DDR4 |
ストレージ | 256G PCIe SSD(換装可能)、2.5インチ SSDを増設可能 |
WiFi | Wi-Fi6対応 |
Bluetooth | 5.1 |
ポート類 | USB 3.0 x 4、HDMI、Display Port、Thunderbolt 3(USB Type-C)、有線LAN x 2 |
サイズ | 173 x 158 x 73mm |
OS | Windows 10 Home |
その他 | SATAケーブル付属 |
メモリは12GBと中途半端感があるのですが、後段の「内部の構成」でマザーボードの表面を見ると、スロットの存在を確認できず。メモリはオンボードと思われます。
▼後日試してみますが、4Kの映像出力、40GB/sのデータ転送に対応するThunderbolt 3を備えています。
▼Windows 10の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」。もちろん、スペックどおりに Core i3-1005G1、メモリ 12GBとなっており、Windows 10 Homeのバージョンは2004
▼こちらは、デバイスの情報やCPUの温度管理もできるフリーソフト「HWiNFO( HWiNFO、Win 10のデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフトの概要)」のシステム情報。右下にメモリはDual Channelとあります。
▼HWiNFOでは、メモリとSSDの製造元も読み取れるのですが、CoreBox Proではメモリの製造元を読み取れず。SSDは以下のとおり Kingstonの製品です。
▼こちらは Geekbench 5でのシステム情報を抜粋。
外観と機能
同一のボディを採用するCHUWIのミニPCのレビューとしては、GT Box、CoreBox i5に次いで 3製品目となります。GT Boxがスチール製であるのに対し、CoreBox i5とCoreBox Proは樹脂製。CoreBox i5とCoreBox Proは、ポート類の構成が異なりますが、それ以外は同じ外観です。
3製品に共通する事項としては、ミニPCとしては大きなボディ(以前に内部にオンボード外のGPUを備えていた「HiGame」のボディを流用しているため)で、冷却のためにも内部の空間を確保している一方、前面にUSBポートがないことが残念。


▼CHUWIのPC、タブレットに共通する配色の外箱。
▼仕様の概要の記載があることも、CHUWIの他製品と同様です。
▼内部は厚いクッションで保護されています。
▼ACアダプターはコンパクト。プラグはEUタイプですが、Bangoodのサービスで変換アダプターが付属。2.5インチのHDD / SSDも増設可能であり、ケーブルとネジが付属しています。
▼2番目の写真はCoreBox i5のACアダプターですが、上のCoreBox Proのアダプターは形状が異なります。
▼説明書と保証書。取扱で留意すべきこともないため、説明書は参照する必要もないかと。
以降の実機の写真は、ブラックの細部を写すために明るめで撮影しています。
▼前面は右上の電源ボタンのみです。CoreBox i5も同様ですが、電源ボタンは強く長く押し込まないと、電源オンとなりません。Amazonの他のCoreBoxにて、電源ボタンの不具合のコメントもありますが、電源ボタンの建て付けに課題があるようにも感じます(電源オンとならないような現象はありません)。
▼背面は左から、有線LAN x 2、マイク・ヘッドホンジャック、USB 3.0 x 2、HDMI、Display Port、USB 3.0 x 2、Thunderbolt 3
▼サイドはスリットが多数あり。
▼斜めより。グレーの部分も含めて素材は樹脂製です。繰り返しますが、右上の電源ボタンは強く押さないとオンとなりません(個体差かもしれませんが、手元にあるCoreBox i5も同様です)。
▼樹脂製の天板。四隅にネジがありますが、内部にアクセスする際には底面より行います。
▲ファンが2つあるような形状ですが、ファンは1つのみ。汎用のボディのため、ファンと通風孔の位置がずれています。
▼同じくCore i3-1005G1を搭載するMINISFORUM X35Gとの比較。X35Gは通常サイズ(高さは通常のミニPCよりも低い)のミニPCですが、CoreBox Proはかなり大きいことがわかります。
内部の構成
CoreBox i5はCPUファンの音量がやかましいのですが、CoreBox Proは特筆すべき静けさです。このため、CPUファンの確認をメインの目的として、内部を確認してみました。
▼底面の四隅にあるネジを外すと内部にアクセスできます。右下のネジはシールが貼ってあります。
▼樹脂製の底板の裏側に、スチール製のHDD / SSD取付用のフレームがあります。この構成も、同ボディを採用するGT Box、CoreBox i5に共通する仕様です。
▼左にあるのが、2280サイズのM.2 PCIe SSD。接続はSATAの兼用で、より大容量のSATA SSDに換装することもできます。
▲左下に黒と白のポートが2セットありますが、2.5インチ SATAケーブルの接続先です。2セットあり、2台の増設も可能かも(ただし、2.5インチ HDD/SSDを2台収めるにはスペースが厳しい)。今度試してみます。
▼大柄のボディを活かすためか、ミニPCとしてはかなり大きいCPUファンとヒートシンクが搭載されています。
▲▼CPUファンとヒートシンクを拡大。下の写真のCoreBox i5のCPUファンと同じ構成のようですが、Core i5は概ね常時 やかましいい一方、CoreBox Proは負荷をかけても静かです。このCPUファンの音量の差はかなり大きく、CoreBox i5は静かな場所での常用は厳しいのですが、CoreBox Proは全く問題ありません。
▼PCIe SSDと、前述のとおり2セットある 2.5インチ SATAポートを拡大。CoreBoxシリーズでは、M.2 SSDを取り付けるネジが通常のサイズとは異なるため、取り外しの際に紛失しないように注意が必要です(私はGT Boxで紛失し、代替のネジを探せずにいます)。
▼付属するSATAケーブルを接続。
▼HDDを取り付けました。ケースに収める際に、写真の手前(下)の枠とアダプターにスペースの余裕がなく、ケーブルを押し込んで取り付ける必要があります。
▼デバイスマネージャーでは、もちろんHDDを認識しています。
CoreBox i5との外観の比較
参考までに、現在も販売しているCoreBox i5との外観比較です。繰り返しですが同じボディを採用しており、素材も同じです。
▼以降の写真も含め、上がCoreBox Pro、下がCoreBox i5ですが、正面は全く同じです。
▼背面はポートの構成が異なります。CPUの世代が異なれば、マザーボードも異なるため、この意味では相違があるのは当然です。何度も言及していますが、前面にUSBポートがないのは残念。マウスとキーボードを他のPCと共有している私ですが、交換の都度、背面にまわり込む必要があります。
▼一見、微妙に異なるように思えたサイドも全く同じでした。
▼照明のために色が異なっているように見えますが、天板も同じです。
ベンチマークスコアと体感レスポンス
インテル 第10世代 2 コア4スレッド Core i3-1005G1のベンチマークスコアですが、体感レスポンスに直結するシングルコアのスコアは、概ね第8世代 4 コア8スレッドのCore i7-8565Uと同水準。PCIe SSDと相まって、在宅勤務や画像編集程度のライトユースではかなり快適です(このクラスの他の製品と同様に、負荷の激しいゲームや動画編集向きのCPUではありません)。
ベンチマークスコア
▼こちらはGeekbench 5のCPUベンチマークスコア。
上から順に本製品、同じくCore i3-1005G1を搭載の「MINSIFORUM X35G」、第8世代のCore i7-8565Uを搭載するミニPCのスコア。4コア8スレッドCore i7-8565Uと同水準と言えそうです。
▲▼引用した「MINSIFORUM X35G」、第8世代のCore i7-8565Uを搭載するミニPCの実機レビュー記事はこちら。


▼ドラクエベンチマークのスコアは「8599 とても快適」。
下は同CPUを搭載「MINSIFORUM X35G」のスコアですが、本製品のメモリ 12GBに対して、X35Gは16GB。ドラクエベンチマークなどGPU系のベンチマークでは、メモリ搭載量がスコアに反映するため、その差によるものだろうと推測。
▼こちらはCINEBENCH R23のスコア。
▼CrystalDiskMarkでのSSDのベンチマーク。NVMe対応のPCIe接続としては控えめなスコアですが、市販品のPCに搭載のSSDとしては、発熱とコストも考慮してか、このあたりのスコアとなるものが多いです。
体感レスポンス
全般的に、このクラスのスペックとなると、データ量の多いExcelやAccess、画像編集やWebサイトブラウジングのライトユースでは快速です。
会社でメイン利用のPCは、インテル 第4世代 4コア8スレッドのデスクトップ向けのCPUを搭載していますが、本製品のPCIe SSDの恩恵もあり、会社のマシンよりもかなり快適に動作します。
- 時間は計測していませんが、Windowsの起動や終了は爆速で、特に終了が速い。
- 300MB程度のソフトインストールにおいては、待たされ感もなく SATA SSDよりも快適であることが実感できます。
- サイト記事の編集や画像編集、Webサイトの閲覧などのライトユースでは実に快適。このあたりの処理では上位機と差がつきにくいのですが、上位機と同様にキビキビと動作し、Chromeではタブの切替時の表示や画像編集など心地よい速さです。
- 快速さと後段に記載のCPUファンの静けさで、メイン利用としても十分です。
▼ライトユースでのレスポンスは、以下の上位のミニPCと比較しても遜色ありません。

ファン音量
本製品で特筆すべきは、CPUファンの静音性と冷却性の高さ。正直なところ、CoreBox i5のCPUファンの音量がかなり喧しいために、CoreBox Proの静音性には期待はしていなかったのですが、ベンチマークで負荷をかけた場合にもファン音量は大きく変化せず、一貫して静かです。
一見すると、CoreBox i5 / CoreBox Proともに同じCPUファン・ヒートシンクを使用しているように思いますが、ソフト側での制御が異なるのか、この静音性ならおすすめできます。
▼こちらは iPhoneアプリの「騒音測定器」で計測のファン音量。最大の45dbは私のキーボードのタイプ時ですが、通常時 28dbあたりで安定しています。負荷をかけた際にも音量は大きく変化せず、嬉しい静音仕様です。
▼CPUの冷却性にも優れています。ベンチマークで負荷をかけた際のCPUの最大温度は70℃前後と優秀です。ボディにも温もりを感じず、大きなヒートシンクが機能しているように思います。
まとめ
大柄ボディのミニPCとなり、また、電源ボタンを強く長く押下する必要がありますが(個体差かも)、第10世代のCore i3-1005G1、メモリ 12GB、PCIe SSDを搭載することにより、ライトユースではすこぶる快適なミニPCです。私のCoreBox i5の使用感では、CPUファンの音量を心配していたのですが、想定外の静けさで これなら安心しておすすめできます。